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江津湖というのは私の郷里熊本のさして大きくはないが、水の美しさと清澄さ、数多の淡水魚の豊富さとで有名な湖である。阿蘇山がその水源地といわれ、水前寺という川が、山麓の森林地帯の地下水を集めて楽し気なせせらぎの音を立て乍ら、江津湖へ流れ注いで、湖水は何時も溢れるばかりの水をたたえている。(中略)
一体にこの地方は江津湖や水前寺川のみならず、到るところに沼沢や小川があって宛然一大水郷をなしている。従って魚心あれば水心・・・ではない、水心あれば魚心という具合で、夥しい川魚が棲息している。こんなところに育った関係から私は幼時から水と魚を相手に暮らして来たと言っても誇張ではない。素晴らしい美人や、美しい草花、それ等に増して「魚」を賛美するもの、それは私に取って自然な事だ。(堅山南風「想い出のままに」より抜粋)
・メール kakubinta@gmail.com
※カーソルを魚の写真の上に置くと種名が表示され、クリックすると詳しい解説を見ることができます。
オイカワ
大物は10cmを超えます。産卵期のオスは、体やヒレが大変きれいに赤く色づきます。流れの速い瀬に多く、釣りの対象魚としても食用としても人気があります。
オイカワは、江津湖のあたりではハエとよばれ、特に産卵期のきれいなオスはアカタバエ、アカタ、メスや冬のオスなどで銀色のものはシラバエとよばれます。
2015年8月 江津湖で撮影
日中の浅瀬で、オス同士で力を誇示するようにひれを広げて争うオイカワ。
2016年7月 江津湖で撮影
朝日が昇ってしばらくしてから、瀬を上り始めたオイカワ。
2022年6月 江津湖で撮影
地味な銀色のオイカワ。夜に撮影しました。
オイカワはほとんどはこのような銀色の個体を見かけることの方が多いと思います。
2021年7月 江津湖で撮影
長い平行遊泳(闘争行動の一つ)の合間に、緊張がほぐれたオスたち。
2017年8月 江津湖で撮影
早瀬でペアを組むオスとメス。オスは他のオスが近づかないように警戒しながら、メスの体を川底に押しつけて産卵を促しているようです。
2017年8月 江津湖で撮影
産卵中のペア。
全身をとても激しく震わせながら、早瀬の砂礫底に卵を産みつけます。
ところで、他の川でつかまえたオイカワが江津湖に放流されることもあるようです。他の地域の遺伝子を持ったオイカワや外来種など他の魚が混じり込んだりするので、とても問題です。放流は止めた方がよいでしょう。