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バラタナゴ類(Rhodeus ocellatus)

江津湖周辺ではバラタナゴを含めてタナゴの仲間はビンタ、シビンタとも言われます。

 

全長4-5cmの小型のタナゴで、産卵期のオスは真っ赤に色づきます。ヌマガイやタガイなどのドブガイ類やイシガイなどの二枚貝の中に産卵します。


江津湖にはかつて日本在来のニッポンバラタナゴがいたらしいのですが、現在では外来種のタイリクバラタナゴとの交雑(雑種化)が進み、純粋なニッポンバラタナゴはいなくなったと考えられます。

バラタナゴ170504-860.JPG

2017年5月 緑川水系で撮影

江津湖ではありませんが、農業用排水路に湧水が流れこむところで、様々な魚が流れてくるエサを食べていました。

排水路自体は濁っており、そこから遡上してきた婚姻色豊かなバラタナゴのオスを観察できました。色彩はまるでニッポンバラタナゴですが、この水系で外来種タイリクバラタナゴの遺伝子を持ったバラタナゴが確認されているので、交雑個体であると考えるしかありません。

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2013年8月 江津湖で撮影

偶然にも、江津湖でバラタナゴ類の産卵行動を観察することができました。

​右側の産卵管を伸ばしつつあるのがメス、左側の赤く色づいているのがオスです。メスがのぞきこむ先の水底に、イシガイ類が潜っているのでしょう。

ヌマガイ・イシガイ110319江津湖.JPG

2011年3月 江津湖で撮影

上の2つがドブガイ類、下の細い貝がイシガイです。

​バラタナゴ類やカゼトゲタナゴ、カネヒラ等のタナゴ類が産卵に使う大切な貝です。

ヌマガイ110430-050江津湖.jpg

2011年4月 江津湖で撮影

砂と泥が堆積して水通しのよいところに、ドブガイがいました。

​このように体のほとんどは泥の中に潜り込んで、水管を出して呼吸しています。タナゴ類はこの水管(出水管)に卵を産みつけるそうです。

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2019年5月 緑川水系で撮影

バラタナゴの産卵期である5月に、麦畑の中にある農業用排水路で真っ赤なオスを捕えました。

ほ場整備により用排分離された水路でも、底泥があって二枚貝が普通に生息できて、隠れ処や越冬場となる深みがあればタナゴ類は割と生きていけるようです。ただし、「二枚貝が普通に生息できる」という条件は思うほど簡単ではありません。

バラタナゴ190505-295.JPG

2019年5月 緑川水系で撮影

上のオスと同じ水路で捕えたメスです。産卵管が非常に長いのもバラタナゴ類の特徴です。

ニッポンバラタナゴ190706-232.JPG

2019年7月 他の川で撮影

熊本県内の他の川で捕えたニッポンバラタナゴと思われるオスです。

一匹でも​タイリクバラタナゴが侵入したとたん交雑集団となり、ニッポンバラタナゴはいなくなってしまいます。他の川の魚やペットとして売られていた魚を放流してはいけないということになります。

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