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江津湖というのは私の郷里熊本のさして大きくはないが、水の美しさと清澄さ、数多の淡水魚の豊富さとで有名な湖である。阿蘇山がその水源地といわれ、水前寺という川が、山麓の森林地帯の地下水を集めて楽し気なせせらぎの音を立て乍ら、江津湖へ流れ注いで、湖水は何時も溢れるばかりの水をたたえている。(中略)
一体にこの地方は江津湖や水前寺川のみならず、到るところに沼沢や小川があって宛然一大水郷をなしている。従って魚心あれば水心・・・ではない、水心あれば魚心という具合で、夥しい川魚が棲息している。こんなところに育った関係から私は幼時から水と魚を相手に暮らして来たと言っても誇張ではない。素晴らしい美人や、美しい草花、それ等に増して「魚」を賛美するもの、それは私に取って自然な事だ。(堅山南風「想い出のままに」より抜粋)
・メール kakubinta@gmail.com
※カーソルを魚の写真の上に置くと種名が表示され、クリックすると詳しい解説を見ることができます。
ハス(Opsariichthys uncirostris uncirostris)
全長30cmほどになります。幼魚はオイカワによく似ていますが、口がへの字の形をしているため見分けることができます。
もともと九州にはいなかった国内外来種です。滋賀県の琵琶湖産の稚鮎の放流に混じって広がったと言われています。
魚食性が強く、すばやく泳ぎながら他の魚やエビの仲間、水生昆虫類などを食べることが知られています。
驚いて水面上に飛び出し、舟の中に飛び込んでくることもあります。
2021年7月 江津湖で撮影
江津湖の平瀬で、ハスのオスがメスを追跡していました。一見オイカワに似ていますが明らかに体が大きく、特に頭部と口の大きさが目立ちます。
2019年10月 江津湖で撮影
子供が私の釣り具を使って、ルアー(スピナー)で釣りました。魚食性の強いハスならではの釣り方です。
1990年ごろ、江津湖の早瀬で同じようにスピナーでハスを数匹釣った記憶があります。最初はマスがかかったのかと勘違いしてしまいました。
2019年10月 江津湖で撮影
上の写真と同じ個体です。
唇の形がへの字に曲がっているのが特徴です。
2021年7月 江津湖で撮影
湧水地の沖合から、オイカワに混じってハスが数匹遡上してきました。
表層を数匹で泳いでいることが多いです。
2021年7月 江津湖で撮影
ハスがオイカワやアユを追っていました。
このハスも獲物を口にくわえていました。