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江津湖というのは私の郷里熊本のさして大きくはないが、水の美しさと清澄さ、数多の淡水魚の豊富さとで有名な湖である。阿蘇山がその水源地といわれ、水前寺という川が、山麓の森林地帯の地下水を集めて楽し気なせせらぎの音を立て乍ら、江津湖へ流れ注いで、湖水は何時も溢れるばかりの水をたたえている。(中略)
一体にこの地方は江津湖や水前寺川のみならず、到るところに沼沢や小川があって宛然一大水郷をなしている。従って魚心あれば水心・・・ではない、水心あれば魚心という具合で、夥しい川魚が棲息している。こんなところに育った関係から私は幼時から水と魚を相手に暮らして来たと言っても誇張ではない。素晴らしい美人や、美しい草花、それ等に増して「魚」を賛美するもの、それは私に取って自然な事だ。(堅山南風「想い出のままに」より抜粋)
・メール kakubinta@gmail.com
※カーソルを魚の写真の上に置くと種名が表示され、クリックすると詳しい解説を見ることができます。
カワヒガイ
全長13cmほどになります。
カワムツやムギツクに似ていますが、体の横にはモヤモヤっとした黒い帯があり、背びれにも一本の帯があります。産卵期のオスはほおが桃色に、メスはやや黄色味を帯びます。
川の中下流やこれに連なる水路に生息し、砂や礫の底を好みます。ムギツクと同じように底の方で底生動物や付着藻類などをついばみます。
4~7月頃、イシガイ、タガイ、ササノハガイ類などの生きた二枚貝に産卵します。
2020年8月 江津湖で撮影
早瀬の岩陰に、カワヒガイたちが群れていました。
岩に付いた藻類を盛んに食べていました。
2020年8月 江津湖で撮影
メスに混じってオスも数匹いました。産卵期が終わった後だと思いますが、ほおの桃色が少し残っています。
2019年3月 緑川水系で撮影
春先の水路に、お腹がふくれたカワヒガイがいました。小型ながら、卵を持ったメスのようです。体が重そうに泳いでいました。
ここには大型で婚姻色が立派なオスのカワヒガイもいるのですが、警戒心が強くなかなか写真が撮れていません。
2019年5月 他の川で撮影
江津湖から遠く離れたタガイの多い川に、たくさんのカワヒガイがいました。写真の個体は大型のオスで、見てのとおり立派な婚姻色でした。