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江津湖というのは私の郷里熊本のさして大きくはないが、水の美しさと清澄さ、数多の淡水魚の豊富さとで有名な湖である。阿蘇山がその水源地といわれ、水前寺という川が、山麓の森林地帯の地下水を集めて楽し気なせせらぎの音を立て乍ら、江津湖へ流れ注いで、湖水は何時も溢れるばかりの水をたたえている。(中略)
一体にこの地方は江津湖や水前寺川のみならず、到るところに沼沢や小川があって宛然一大水郷をなしている。従って魚心あれば水心・・・ではない、水心あれば魚心という具合で、夥しい川魚が棲息している。こんなところに育った関係から私は幼時から水と魚を相手に暮らして来たと言っても誇張ではない。素晴らしい美人や、美しい草花、それ等に増して「魚」を賛美するもの、それは私に取って自然な事だ。(堅山南風「想い出のままに」より抜粋)
・メール kakubinta@gmail.com
※カーソルを魚の写真の上に置くと種名が表示され、クリックすると詳しい解説を見ることができます。
カマツカ
カマツカは川底のきれいな砂地に、はりつくように生活する底生魚です。大物は全長20cmほどになります。
餌を砂ごと口に含み、余分な砂をエラから吐き出しながら餌を食べます。オイカワなどの魚が一生懸命に砂礫底に産卵した卵を、せっせと食べまくる姿はユーモラスでさえあります。驚いた時には、目玉だけ出して砂に潜って隠れるおもしろい魚です。
江津湖の周辺は公共下水道の整備が進み、40年前と比べると水や砂がきれいになって、カマツカもよく見かけるようになりました。
2018年5月 別の川で撮影
砂底に群れるカマツカ。
2020年3月 江津湖で撮影
砂礫底で見つけた、よく肥えたカマツカです。
2018年8月 江津湖で撮影
早瀬の川底に、カマツカがいました。
オイカワが生んだ卵を掃除機のように吸い込んで食べていました。
2016年7月 江津湖で撮影
早瀬の砂礫底に、数匹の大きなカマツカがいました。
なかなかのカモフラージュです。
2018年5月 別の川で撮影
砂礫底にカマツカが潜っていました。目を表に出し様子をうかがっています。