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江津湖というのは私の郷里熊本のさして大きくはないが、水の美しさと清澄さ、数多の淡水魚の豊富さとで有名な湖である。阿蘇山がその水源地といわれ、水前寺という川が、山麓の森林地帯の地下水を集めて楽し気なせせらぎの音を立て乍ら、江津湖へ流れ注いで、湖水は何時も溢れるばかりの水をたたえている。(中略)
一体にこの地方は江津湖や水前寺川のみならず、到るところに沼沢や小川があって宛然一大水郷をなしている。従って魚心あれば水心・・・ではない、水心あれば魚心という具合で、夥しい川魚が棲息している。こんなところに育った関係から私は幼時から水と魚を相手に暮らして来たと言っても誇張ではない。素晴らしい美人や、美しい草花、それ等に増して「魚」を賛美するもの、それは私に取って自然な事だ。(堅山南風「想い出のままに」より抜粋)
・メール kakubinta@gmail.com
※カーソルを魚の写真の上に置くと種名が表示され、クリックすると詳しい解説を見ることができます。
コイ(飼育型 Cyprinus carpio)
江津湖には放流されたコイ(飼育型)が多く、大型のものがよく泳いでいます。全長は100cmほどにまでなります。
4-5月頃、浅瀬に集まって水草などに卵を産みつけます。
意外と知られていませんが、コイ(飼育型)は大型化して貝や水生昆虫などの他の生き物を食べてしまう国外外来種です。「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選定されており、自然界でのコイの存在は問題があるので、放流は避けた方がよいでしょう。
守る対象でもありません。
2017年7月 江津湖で撮影
悠々と泳ぐ全長70cmほどのコイ(飼育型)。
2019年4月 江津湖で撮影
口元にあるヒゲが目立ちます。
2010年10月 江津湖で撮影
人から餌をもらい、よく肥えたコイ(飼育型)。
2020年3月 江津湖で撮影
水前寺公園から逃げ出たと思われるイロゴイ(色鯉)。
2020年8月
全長60cmを超えるような大型のコイ(飼育型)たち。群れて泳ぎ回り、水中では敵なしといった感じです。
生態系への影響を考えると、江津湖のような自然水域では将来的にはコイ(飼育型)を減らしていった方がよいと思います。
さらには、コイを守るために釣り禁止と書かれている看板をみかけます。これを決定した大人は、子供たちが川の生きものに触れる機会をますます奪っていることに気づくべきです。