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セボシタビラ(Acheilognathus tabira nakamurae)

九州北西部のみに生息する固有種です。

タナゴの中では大きな方で、大物は全長10cmを超えます。

 

産卵期のオスは婚姻色で体やヒレが紫や黒、白に色づき、とても華やかです。
河川や水路の不適切な工事により生息環境が失われ、各地で絶滅が心配されており、熊本でも非常に少ないです。

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2019年4月 江津湖で撮影

大型で婚姻色の立派な個体です。

湧水が通る杭柵護岸の奥に潜んでいた​この個体は、他のオスを追い払う際に勢い余って隠れ処から泳ぎ出てきました。

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2019年4月 江津湖で撮影

天気の良い日に、セボシタビラたちが隠れ処から泳ぎ出て、石などに着いた藻類を食べ始めました。赤く色づいているのがオス、色が地味で背びれに斑点があるのがメスです。​

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2011年4月 江津湖で撮影

小型の若いオスを釣ることができました。種の保存法で指定される前です。

大型で婚姻色が立派な個体ほど警戒心が強く、障害物の奥にこもっています。腕前と経験を持ってしてそのような大型個体を釣りあげる釣り人もいました。

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2021年3月 江津湖で撮影

写真の場所は1990年代に熊本県によって、自然の木材や石を使った杭柵工、木工沈床工などの多自然工法が取り入れられ護岸工事が行われました。セボシタビラを含め様々な動植物の棲みかとなっており、素晴らしい設計・施工だと思います。現在の江津湖は政令指定都市熊本市の所管になりました。熊本市には江津湖やその周辺の河川、農業用水路も含めて、こうした工法を受け継ぎ、広めてもらえたらと思います。

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2021年3月 江津湖で撮影

セボシタビラはついに種の保存法で国内希少野生動植物種に指定され(2020年2月10日より施行)、販売や捕獲などが原則禁止となりました。

夕方になると隠れ処から泳ぎ出して、石に付いた藻類をせっせと食べ始めます。

​法で守られることで、ここ江津湖ではそれなりにのびのびと暮らせているようです。

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2024年4月 江津湖撮影

春に闘争する大型のセボシタビラ。平行遊泳を繰り返していました。

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2024年4月 江津湖撮影

​この平べったさ、薄さがタナゴ類の魅力でもあると思います。

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