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江津湖というのは私の郷里熊本のさして大きくはないが、水の美しさと清澄さ、数多の淡水魚の豊富さとで有名な湖である。阿蘇山がその水源地といわれ、水前寺という川が、山麓の森林地帯の地下水を集めて楽し気なせせらぎの音を立て乍ら、江津湖へ流れ注いで、湖水は何時も溢れるばかりの水をたたえている。(中略)
一体にこの地方は江津湖や水前寺川のみならず、到るところに沼沢や小川があって宛然一大水郷をなしている。従って魚心あれば水心・・・ではない、水心あれば魚心という具合で、夥しい川魚が棲息している。こんなところに育った関係から私は幼時から水と魚を相手に暮らして来たと言っても誇張ではない。素晴らしい美人や、美しい草花、それ等に増して「魚」を賛美するもの、それは私に取って自然な事だ。(堅山南風「想い出のままに」より抜粋)
・メール kakubinta@gmail.com
※カーソルを魚の写真の上に置くと種名が表示され、クリックすると詳しい解説を見ることができます。

セボシタビラ(Acheilognathus tabira nakamurae)
九州北西部のみに生息する固有種です。
タナゴの中では大きな方で、大物は全長10cmを超えます。
産卵期のオスは婚姻色で体やヒレが紫や黒、白に色づき、とても華やかです。
河川や水路の不適切な工事により生息環境が失われ、各地で絶滅が心配されており、熊本でも非常に少ないです。

2019年4月 江津湖で撮影
大型で婚姻色の立派な個体です。
湧水が通る杭柵護岸の奥に潜んでいたこの個体は、他のオスを追い払う際に勢い余って隠れ処から泳ぎ出てきました。
